喜多方市の農業の概要を紹介します
喜多方市の農業の概要
(1)喜多方市の概要
喜多方市は、福島県の西北部、会津盆地の北部に位置し、北は大峠を境に山形県米沢市に接し、西北には2,000m級の飯豊連山、北から東には磐梯山、雄国山などの1,000m級の急峻な山々が連なっている。一方、西には300~500mの丘陵地が南北に走り、南には遠く那須連山までを望むように会津盆地が拡がっている。
本市の人口は、昭和30年(1955 年)の国勢調査人口 81,257 人(旧 5 市町村合計)をピークに 減少に転じ、令和2年(2020 年)の国勢調査人口は 44,760 人となり、令和7年(2025年)現在では41,045人となっている。
一方、65 歳以上の人口が36.8%を占めるなど高齢化が著しく、特に農村部において顕著に表れている。要因としては、積雪寒冷地という自然条件と労働力を吸収する第二次・第三次産業が脆弱であることがあげられ、新規学卒者を中心とした若年層の人口流出の原因となっている。
本市の産業は、昭和40年頃までは、稲作を中心とした農業が基幹産業でしたが、非鉄金属、繊維、弱電などの製造業や建設業に移行してきました。地場産業である漆器、桐加工、醸造(酒、味噌、しょう油)業などの伝統的な産業が息づいており、近年は蔵とラーメンの観光資源に関連した産業が中心に伸びてきている。
(2)喜多方市の農業の現状
耕地面積は8,020haを有し、盆地特有の高温で多湿な気候のため水稲栽培に適している。そのため全耕地面積の71%に当たる5,725haで米が作付けされており、県内上位の収穫量(29,400t)と収量(594kg/10a当)を誇り、農業産出額(約95億円)のおよそ6割を占めるなど米に依存した経営類型となっている。
また、転作田を活用したソバやアスパラガス、キュウリ等の生産も盛んで、特にソバは、令和5年において839haで、全国第5位の作付面積となっている。
しかしながら、米価の下落により、農業産出額はピーク時(平成15年=147億円)の65%の95億円にまで落ち込み、農地保全、農村活力の低下など多くの課題を抱えている。
一方、食に対する消費者の関心が高くなり、「安全、安心」な農畜産物を求める動きが強まっている。また、自然や環境に対する国民的関心が強まる中で、農業の多面的機能への期待はますます大きくなっている。
このような状況の中、本市の将来像である「豊かで元気な農山村と活力ある生活・観光都市」の実現に向け種々施策に取り組んでいるが、高齢化の急激な進展により、農業の担い手も高齢化し、各種作物の栽培面積の拡大や新規作物の導入など、新たな施策を模索しているところである。
(3)担い手の高齢化と減少
本市農業における担い手の状況であるが、60歳以上の担い手が67%、65歳以上でも49%を占めるなど著しく高齢化が進行し、深刻な状況となっている。
また、農家数も減少(平成12年4,797戸→平成17年4,578戸→令和2年3,170戸)するなど、近い将来、担い手の減少により、農業生産が困難な地域が発生することが懸念されている。
市では、490名の認定農業者(令和7年現在)を中心に農地の集約を進めているが、中山間地の畑地を中心に荒廃が進行し、認定農業者が農地を受けきれない状況となっている。
(4)遊休農地の状況
本市では、担い手の高齢化や長引く景気の低迷などにより、耕作されない農地が増加しており、市全体では、令和7年現在で534ha が遊休又は荒廃農地となり、憂慮すべき状況となっている。
遊休農地や荒廃農地の増加は、雑草の繁茂や病害虫を発生させるだけでなく、急傾斜地における豪雨時の土砂災害の発生など地域農業に悪影響を与え、担い手の減少ともあいまって農業生産の継続を困難にさせているだけでなく、安定した食料の供給という役割を果たせなくなり、その発生防止と有効活用は緊急の課題となっている。