アスベスト(石綿)に関するQ&A
アスベスト、石綿(いしわた、せきめん)は以下、アスベストと表記します。
Q1 アスベストとはどういうものですか?
A アスベストは、線状の鉱物で、安価な工業材料としてスレート材、ブレーキライニングやブレーキパット、防音材、断熱材、保温材、吸湿材などの産業用として使われています。
昭和30年ごろまでは、家庭用ヘアードライヤーなどの身近なところで広範囲に使用されていましたが、現在は他の材質に変更されほとんどありません。
国内の使用量の約80%はアスベストスレート、アスベストセメント板等のアスベスト含有建築材料として使用されています。以前はビル等の建築工事において、保温断熱の目的でアスベストを吹き付ける作業が行われていましたが、現在では禁止されています。このため、最近では建設工事よりもビル等の改修・解体工事のほうがアスベストにばく露(※)するおそれが高いといえます。
※アスベストへの「ばく露」とは、浮遊して吸入されやすいアスベスト繊維またはアスベスト粉じんに作業中にさらされることをいいます。
Q2 アスベストはどんな特性をもっていますか?
A アスベストは、その繊維が極めて細く、容易に空中に浮遊します。このため、人が呼吸器から吸入しやすいという特質を持っています。また、通常の環境条件下では半永久的に分解、変質しないことおよび地表に沈降したものでも容易に再度粉じんとして空中に飛散するため、環境蓄積性が高い点で、他の汚染物質と異なる面をもっています。
Q3 アスベストが原因で発症する病気にはどのようなものがありますか?
A アスベストの繊維は、肺繊維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることが知られています。(WH0=世界保健機構の報告による。)
アスベストによる健康被害は、アスベストを扱ってから長い年月を経て出てきます。例えば、肺がんは15~50年、またはそれ以上という長い潜伏期間の後発病することが多いとされています。仕事を通してアスベストを扱っている人、あるいは扱っていた人は、その作業方法にもよりますが、アスベストを扱う機会が多いことになりますので、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。現に仕事で扱っている人(労働者)は、事業主にその実施義務があります。(労働安全衛生法)
アスベストを吸うことにより発生する疾病としては次のものがあります。労働基準監督署の認定を受け、業務上疾病とされると、労災保険で治療できます。
石綿(アスベスト)肺
肺が繊維化してしまう肺繊維症(じん肺)という病気の一つです。肺の繊維化を起こすものとしてはアスベストのほか、粉じん、薬品等多くの原因があげられますが、アスベストのばく露によっておきた肺繊維症を特に石綿(アスベスト)肺とよんで区別しています。職業上アスベスト粉塵を10年以上吸入した労働者に起こるといわれており、潜伏期間は15~20年といわれています。アスベストばく露をやめたあとでも進行することもあります。治療法は知られていません。
肺がん
アスベストが肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされています。また、喫煙と深い関係にあることも知られています。アスベストばく露から肺がん発症までに15~40年の潜伏期間があり、ばく露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。
悪性中皮腫(あくせいちゅうひしゅ)
肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓および大血管の起始部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍です。(発病後の進行が早く、経過が思わしくない疾患です。)若い時期にアスベストを吸い込んだ人のほうが悪性中皮腫になりやすいことが知られています。潜伏期間は20~50年(およそ40年に発症のピークがあります)といわれています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。
良性石綿胸膜炎
胸膜腔内に胸水が溜まりますが、半数近くは自覚症状が無く、症状がある場合はせき、呼吸困難の頻度が高いといわれています。
びまん性胸膜肥厚
呼吸によって肺が膨らむときに便利なように臓側胸膜と壁側胸膜は本来癒着しておりませんが、良性石綿胸膜炎が発症するとそれに引き続き胸膜が癒着して広範囲に硬くなり、肺のふくらみを傷害し呼吸困難をきたします。胸部X線写真上胸膜の肥厚を認めるようになりますが、この状態をびまん性胸膜肥厚といいます。
Q4 どの程度の量のアスベストを吸い込んだら発病しますか?
A アスベストを吸い込んだ量と中皮腫や肺がんなどの発病との間には相関関係が認められており、一般的に、職業性ばく露の場合、低濃度ばく露では胸膜に、高濃度ばく露では腹膜に中皮腫を発症しやすいといわれていますが、どれくらい以上のアスベストを吸えば中皮腫になるかということは現時点では明らかではありません。
なお、青石綿の場合は、数ヶ月間のばく露により発病する可能性があります。
Q5 以前アスベストを吸い込んでいた可能性がある場合どこに検査に行けばよいですか?
A アスベストを吸い込んだ可能性のある方や呼吸困難や咳、胸痛などの症状がある方、その他、特にご心配な方は専門機関や専門病院に相談されることをお勧めします。
福島産業保健推進センター
アスベストによる健康被害を受けた労働者およびその家族の方々からの健康に関する相談
電話 024-526-0526
住所 福島市栄町6-6 NBFユニックスビル10階
福島労災病院
アスベストばく露歴のある方およびその家族の方々からの治療、健康診断に関する相談
電話 0246-26-1111
住所 いわき市内郷綴町沼尻3
Q6 アスベストを吸い込んだかどうかはどのような検査でわかりますか?
A 胸部X線写真で所見が見られる場合もありますが、すべての方に所見があるとは限りません。ご心配の方は、Q5で記載の専門病院に相談されることをお勧めします。
Q7 吸い込んだアスベストは除去できますか?
A 一旦吸い込んだアスベストは一部は異物として痰のなかに混ざり、体外に排出されますが、大量のアスベストを吸い込んだ場合や大きなアスベストは除去されずに肺内に蓄積されます。
Q8 アスベストが原因で発症する疾患に特有の症状はありますか?
A 発病しさらにある程度進行するまでは無症状のことが多いといわれています。
(Q3をご参照ください。)
Q9 中皮腫や肺がんの発病を予防するにはどうすればよいですか?
A 石綿ばく露による中皮腫や肺がんの発症を予防することについては、現在有効な手段は明らかではありませんが、アスベストを吸い込んだ方すべて中皮腫を発症するわけではありません。吸い込んだ量、期間、種類によって発症の状況も異なってきます。
Q10 病気の進行を予防するにはどうすればよいですか?
A 病気の進行の予防については、現在かかっておられる主治医の先生にご相談ください。
Q11 健康被害の認定と補償をうけることは可能ですか?
A 業務上(仕事中に)、アスベスト粉じんを吸入し、それが原因で石綿疾病にかかったり、亡くなられた場合に、労災として労働基準監督署に申請し、業務上と認定された場合は、労災補償給付を受けることができます。
アスベストまたはアスベスト関連製品を取り扱う事業所等に従事していた可能性について、思い当たる場合には、勤務先並びに県労働局または労働基準監督署までご相談ください。
福島労働局・喜多方労働基準監督署
石綿に関する健康診断、健康管理手帳、労災補償、建築物の工事等について
福島労働局 安全衛生課 電話024-536-4603
労災補償課 電話024-536-4605
労働基準監督署 喜多方 電話0241-22-4211
Q12 労働者以外の方で中皮腫になった場合に補償等を受けることは可能ですか?
A 現在(平成17年9月1日)のところ、労働者以外の方で、国がアスベストに起因する疾病に対し補償を行う制度はありません。
Q13 工場の周りに住んでいますが、大丈夫ですか?
A すでに公表された県内のアスベスト関連工場は下記の7つですが、喜多方にはありませんでした。(平成17年9月1日現在)
- 東邦興産 コインマス事業部 (閉鎖) 郡山市
- 中越テック いわき市
- 曙ブレーキ福島製造 (旧曙ブレーキ工業) 桑折町
- 曙ブレーキいわき製造 矢吹工場 矢吹町
- 東レACE (旧 テクマート) 福島工場 小野町
- 浪江日立化成工業 浪江町
- 浪江日本ブレーキ 浪江町
Q14 市で健康診断を実施していますか?
A アスベストを吸入した可能性があり、ご心配の方は専門医療機関による診察を受けていただくことが望ましいと考えておりますが、現在喜多方市では独自の健康診断は実施していません。
Q15 自宅の建材にアスベストは含まれていますか?
A 建材によっては、含まれているものもあります。含まれているかどうかを知るには建築した工務店などにどのような建材を使ったかを聞き、その建材メーカーに確認する必要があります。
Q16 自宅の建材中のアスベストはアスベスト関連疾患を発症させますか?
A 改造や解体など、建材をつぶしたりしない限り、通常の生活をしているだけでは健康の心配はありません。
Q17 自宅の建材中にアスベストが含まれている場合、除去のためのリフォームが必要ですか?
A Q16と同様、通常の生活をしている限り、除去の必要は全くありません。むしろ改造や解体を行う場合の方が十分な対策が必要です。
Q18 水道管にアスベストは使われていますか?
A 一部にアスベスト管の使用を把握しています。老朽化しているため順次取替え工事を実施しています。担当 喜多方市 水道課 電話 0241-22-1507
Q19 水道管にアスベストが使われている場合、水道水にアスベストが溶け出して、アスベスト関連疾患をおこしませんか?
A 平成17年7月13日の厚生労働省の発表では、水道水中のアスベストの存在量は問題になるレベルにないことから、水質基準の設定を行わないとしており、また、WHO(世界保健機関)のガイドラインにおいても、飲料水中のアスベストについては、健康影響の観点からガイドライン値を定める必要はないとされています。
このように水道用アスベスト管を通った水道水を飲んでも健康には影響しないといわれています。
Q20 家庭用品にアスベストが使われていませんか?
A 喜多方市が加盟している全国都市清掃会議 東北協議会 福島県部会の調査によると
現在生産されている、豆炭アンカ、豆炭こたつ、トースター、蚊取り線香付属の受け皿、魚焼き網等にはアスベストは使われていないという結果でした。使用が確認できたのは、昭和30年ごろに生産された一部のヘアドライアーだけでした。
Q21 アスベストを検査できる業者はありますか?
A 市では検査できません。県登録の分析機関を紹介しています。
分析機関一覧(平成17年9月1日現在 順不同)
- 常磐開発株式会社 いわき市 0246-72-1111
- 株式会社クレハ分析センター いわき市 0246-62-6166
- 株式会社環境分析研究所 福島市 024-535-0183
- 株式会社日本化学環境センター 郡山市 024-942-6676
- 株式会社福島理化学研究所 福島市 024-541-3123
- 福島県環境検査センター株式会社 郡山市 024-941-1719
- アクア化学株式会社 福島市 024-554-2657
- 株式会社江東微生物研究所 いわき市 0246-36-7131
- 東北緑化環境保全株式会社原町支店 原町市 0244-24-3872
- 株式会社新環境分析センター 郡山市 024-959-1481
- 有限会社イオン 須賀川市 0248-73-2454
上記は県内の環境計量証明事業者を対象に調査したものです。
(調査機関:福島県大気環境グループ)
日曹金属化学株式会社 会津環境分析センター0242‐73‐2123
(定量分析は不可、定性分析のみ可能)
(調査日:平成17年9月1日 調査機関:喜多方市 生活環境課)
Q22 アスベストを処理できる業者はありますか?
A 市では処理できません。専門業者を紹介しています。
<解体に伴う業者> 福島県アスベスト処理協会 会員名簿(平成17年9月1日現在 会員番号順)
- 東日本ユニットサービス株式会社 福島市 024-597-2808
- 常磐開発株式会社 いわき市 0246-72-1111
- 陰山建設株式会社 郡山市 024-944-1325
- 日東環境整備株式会社 福島市 024-557-5377
- 松浦商事株式会社 会津若松市 0242-27-4433
- 日計産商株式会社 郡山市 024-952-3733
- 株式会社二瓶商店 福島市 024-534-6768
- 東北ビルハード株式会社 郡山市 024-921-6333
- 株式会社テコム 郡山市 024-961-9987
<処理・処分業者>
廃アスベストの処理が可能な県内産業廃棄物処分業者 (平成17年9月1日現在 県許可番号順)
- 富岡興業株式会社 福島市 024-597-2141
- 日東環境整備株式会社 福島市 024-557-5377
- 東北断熱工事株式会社 郡山市 024-939-9371
- 株式会社あいづダストセンター 会津若松市(処理場は柳津)0242-36-5351
- 日曹金属化学株式会社 東京(処理場は磐梯町)0242-73-2121
Q23 民間の支援相談窓口はありますか?
A 民間団体の相談を希望される方は以下の相談窓口あります。
アスベストセンターへのご相談 東京 03-5627-6007
中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会 大阪06-6943-1528
その他参考になるホームページ
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/07/h0708-1.html<外部リンク>
福島県 石綿(アスベスト)問題に対する当面の方針http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045a/kenko-asubesuto.html<外部リンク>
一般社団法人JATI協会 http://www.jati.or.jp/<外部リンク>
石綿(アスベスト)を含有する家庭用品の実態把握調査(経済産業省)http://www.meti.go.jp/product_safety/policy/asubesutoindex.html<外部リンク>